世間では「IT人材」だの「AI人材」だのと騒がしいですが、私は今、現場で四苦八苦しながらAIに向き合っている人たちのことは、素直にすごいなと思っているんです。
「AIなんて得体が知れない」と食わず嫌いをしている人や、ただ流行りに乗って丸投げしている人たちに比べれば、自分でプロンプトを打ち込み、試行錯誤して、少しでも業務を良くしようとしている。その姿勢だけでも、十分に「自分の足で立とうとしている」側の人間ですから。
まずは「触ってみる」という一歩を認めてあげたい
AIという新しい道具を手に取るのは、かつて私が大工道具や電気工作の道具を初めて手にした時と同じ、勇気のいることです。 「使い方がわからない」「思うように動かない」と毒づきながらも、毎日キーボードを叩いてAIと対話する。その泥臭いプロセスを積み重ねている人こそが、新しい時代の技術者になっていくんだと思います。
何より、AIを使おうと格闘している時点で、その人はもう「傍観者」ではありません。現場を動かそうとする「当事者」なんです。その挑戦自体を、私は全力で肯定したい。
「ラストワンマイル」にこそ、職人の魂が宿る
AIは確かに、目的地のすぐ手前までは、驚くほどの速さで連れて行ってくれます。 膨大なデータを整理し、論理的な正解を叩き出す。ここまではAIの独壇場です。
でも、最後の最後。その答えを現実の現場に落とし込み、人間に納得させ、予期せぬトラブルを指先一つで解消する「ラストワンマイル(最後の一里)」。 ここだけは、どうしても現場の記憶が必要になるんですよ。
AIが描いた「100点の正論」を、目の前の「不条理な現実」に馴染ませる力。 それは、かつて土建の現場で泥を飲み、電験やビル管の知識を必死に叩き込み、武術で体の重心移動を極めてきた……そんな「実体験」からしか生まれないものです。
AIという「光」に、現場の「影」を掛け合わせる
だから、今AIを一生懸命使っている人は、ぜひ自信を持ってほしいんです。 その上で、もし行き詰まりを感じたら、一度パソコンを閉じて、現場に流れる空気の違和感に集中してみてください。
AIが出した「綺麗な答え」のどこに、現実とのズレがあるのか。そのわずかな隙間を、自分の手と経験で修正できたとき、AIはただの便利な箱から、あなただけの「唯一無二の武器」に変わります。
AIという強力な追い風を受けながらも、舵を握るのはあくまで自分。 理論と現場が噛み合ったとき、初めて本当の「DIY・AI」が完成する。私はそう信じています。






