武術創造 DIY・AI研究所
武術創造 DIY・AI研究所 BUJUTSU-CREATION-DIY-AI LAB

「戦わないことが最善」

武術の話をもう少し掘り下げておきましょうか。先ほども言いましたが、世の中の大半の人は、武術を格闘技の延長線上で考えています。でも、本当の武術って何なのか。

私はありがたいことに、世界最高峰のレベルの方々から直接ご教示いただく機会がありました。その根底にあるのは『孫子の兵法』です。最古にして最高の兵法書と呼ばれる、あの思想ですね。

「武」とは、二つの矛を止めること

「武」という字をよく見てください。二つの矛(ほこ)を「止める」と書きますよね。つまり、武術の本質は「争いを止める術」なんです。勝つことじゃなく、争いそのものを終わらせること。

孫子は言っています。「百戦百勝は善の善なる者に非ず」と。戦って勝つのが一番いいわけじゃない。なぜそんな思想になるのか? 当たり前ですよ、戦場は何でもありの、ルールのない世界だからです。

負ければ国が滅びるような博打を、軽々しくやるもんじゃない。 だから「戦うな」というのが、武術の最初の一歩なんです。

不確定要素だらけの世界での生存戦略

戦争なんて、いつ、どこで、誰が敵として現れるか分かりません。味方だと思っていた奴がスパイかもしれないし、だいたい味方に無能がいた場合、敵以上に手ごわいと相場が決まっています。相手の人数も実力も武器も分からない。

そんな不確定要素だらけの中で、24時間365日、全方位に備えるなんてできますか? 私は無理ですね。そんなことをしていたら、敵が来る前に疲弊して終わってしまいます。

だったら、一番の生存戦略は「敵を作らないこと」になりますよね。

じゃあ、どうやって敵を作らないか。答えはシンプルです。礼を尽くすこと。そして、自分の人格を磨き、徳を積むこと。

わざわざ礼儀正しい人に喧嘩を売ろうなんて、普通は思いません。人格を磨くことは、精神論ではなく、生き残るための「最も合理的な手段」なんです。

最強を証明するために拳を振るう格闘技と、生き残るために礼を尽くす武術。この決定的な違いを理解していないと、現代という戦場でも簡単に足元をすくわれてしまうんじゃないかな、と思っています。